1. 「社長とは『経済に関する危険を伴う意思決定をする人』である」とは
危険の伴う意思決定でないと意味がないということである。多くの場合、危険のない判断は誰にでもできるのである。リスクを避けることは大切だが、リスクをとることはもっと大切だと言っている。多くの人が勘違いしているのは、会社の成長は勤勉と努力で成長すると思っている。なので、前年よりも可能だけどきついと思うギリギリの数字を目標にする。そしてその数字目掛けて努力するのである。
これが、会社に対して課せられた義務の全部であると思っている。いわゆるオーガニックな成長である。これは、本当に現場の個々に課せられた義務であり努力目標である。経営者がこれと同じ次元にいてはいけない。
2. 会社の成長とイノベーション
会社にとっての成長はこれ以外に、ノンオーガニックな成長、イノベーションがある。ノンオーガニックな成長の最たるものはM&Aなどの組織改革である。イノベーションはいろいろある。イノベーションの定義はいろいろあるが、わかりやすい言葉でそれを定義してみたい。「〜とは、会社にかかわる、そもそもの部分のどれかを変えて、非連続性のある跳躍的成長のことである」とする。危険の伴う判断の領域はこれらのことである。改善改革は経営者にとって継続的に取り組まないといけない義務である。なかなかそう考える経営層は少ない。
3. 社内構造改革と時間管理
最終的にリスクのある決定に承認を与えるのは社長の役割であるが、そのすべての原案を社長に作れるわけではない。社内から適任者を抽出する必要がある。
改革に取り組める人財は構造的に少ない。単純に考え、55歳以上の社員はもはや定年が見えている。役職がついていてもあと5年無事に勤め上げれば卒業である。(定年が65歳、70歳にのびそうであるが、意識はそう簡単には変わらない)そうでなくても役職定年で気楽な身分である。20代の社員にできるはずもない。本当は、30代後半から40代前半ぐらいの中堅層が一番改革者に向いている。しかし残念なことに、この年代、現業に忙殺されている。少しでも余裕があるのを見つければ、その隙間に新しい業務が差し込まれる。
それでも、30代後半から40代前半の人間しか改革者に適任階層はいない。改革者は保護する必要がある。現業を軽減させ、彼らに権限を譲渡するべきである。なぜならば、卒業ぎわのエスケイプ族は彼らにとっての抵抗勢力になるのは目に見えている。もちろん最終判断と決定と責任は社長が取るのだけれども、実働部隊の創出も社長の仕事である。Googleは20%の時間を担当業務以外の改革案の創出に当てないといけない。このように時間管理で彼らは守られている。
4. 結語
改革を行う時に最初に必要なリソースは、ふさわしい条件を満たした人間の確保と、余裕の提供である。ちなみに、Googleマップはこの時間の中で生まれた。もっとも今はこの制度はなくなっているらしいが。想像であるが、更に改革自体が日常化し、20%と区分けすらできない状況になったからと類推する。その20%の生産性を問題視して廃止にしたのではないと思う。昨今思いもよらないヒット商品は外部からの思いもよらない思い付きである。
・フエキ社の動物糊の化粧品。https://www.fueki.co.jp/cosmetics/
・可愛らしい、マスキングテ。https://jr-furusato.jp/magazine/3465/
これらの商品は外部から突然持ち込まれたIDEAである。これらに対して、度量よく賛同した社長がいたから実現したのである。 了