1. 「最大の得意先でも、売り上げの30%以上は依存しないこと」とは
物凄く大切な点である。背景も含めて理解しておく必要がある。そしてこの実態を回避しなければならないのである。2020年から新型コロナで世間は逼迫した。こうしたネガティブな状況に対して、鼓舞し、絞り出すように世間ではしばしば「PINCHはCHANCEだ」と励まし合ってきた。
それはそれでいいのだけれども、本当に怖いのは「CHANCEがPINCH」になったときである。このときの脆さは凄い。津波に流されるがごとくである。
2. 自社の「強み」と「優位性」の永続性
チャンスという言葉では十分表現しきれないが、自社の「強み」とか「優位性」などは実はチャンスといえる。その状態が永く続いているだけで良いのだ。系列会社であり、自社の販売納品先が保障されているようなことも、チャンスが永く続いている状態を意味する。
永く続くとそれが当たり前となる。下手すると自分たちの実力かと勘違いしてしまう。運がよくて、それが永く続いているだけだと思えなくなってしまう。しかし、近年の外部環境の変化は速く、そして大きい。
3. 企業経営とパレート分析
自社の強みが無力化することなど当たり前のように発生する。自社の売上げは一瞬にしてなくなる。30%ショートして耐えられるか。これはかなり難しい。中小企業の倒産理由の70%が販売不振である。徐々に落ちる販売不振ならば手が打てる。一瞬にして消え去る大口顧客に対しては打つすべがない。打ち手を用意しておかなければ手が打てない。それ以前に、何かに頼りすぎないことである。毎年年度の目標を立てる際に、前年比の売り上げの成長だけ悪戯に設定するのではなく、その数字の質を高めなければならない。その具体的な中身がこれと連動している。
単に数字の成長を設定するのではなくて、数字の中身にも関心を持たないといけない。社内シェアが大きすぎるものに対しては、危機も合わせて設定する必要があるし、顧客間のバランスも必要なのである。まずは、パレート分析を行い、その上位3社に対しての危機を徹底的に分析する。そして、この上位顧客が未来永劫でないと想定して、どのようにそれをリカバリーするかを想定しなければならないであろう。
4. 結語
このように考えてみてはじめて分かることがある。収益は質の身ならず、バリエーションが必要なのである。同一商品、同一得意先、同一資材、同一。そのすべてがリスクであると考える必要がある。
現代風に言えばポートフォリオはできているのか。それは単純に分ける整理ではなくて、卵が一つの籠に入っていたらその中の卵はすべて一瞬で割れる。しかし籠を分けておけば、一度に割れる卵の数を軽減できる。チャンスがピンチになるとなすすべ無いことを覚えておくべきである。 了