1. 「社長の蛇口訪問一回は、セールスマンの訪問の百回に勝る」とは
社長には象徴としての社長と、実態としての社長が存在する。社内においては実際の実務性が高く、社外に対しては象徴性が強い。社外の得意先に対して、業務の実力などを社長自らが提示するケースは稀である。社外に対しては「印象操作」として極めて有効なのである。
社長が移動するということは最低限移動の労を提供したことになる。つまり、そこには嘘のない印象が生まれる。せっかく社長が伺うのである、印象だけは大きく獲得していきたいものである。社長の接触は、手紙、電話にあり得ない印象が付きまとう。そうであるならば、それなりに考えて伺うことが大切といえる。
2. 訪問理由の創出
年末年始の挨拶はどうであろうか。行かないより行った方が良いかもしれないが、「正月の挨拶にしか来ないよ」と言われるぐらい、良い印象が勝ち取りにくいタイミングといえる。つまり、訪問理由が「新年」に寄りかかっているからだ。
こうした「訪問理由の創出」こそが、大切なのである。それをしなくていい、新年に顔を出したとしても理由なき訪問で終わる可能性が極めて高い。
3. 挨拶は社内の救済である
政治家はわざわざ行ったくせに、「近くまで来たから顔を出しました」という。先方がいたら居たで驚きをもってあってもらえるからである。これがこうした機会を多用する某政治家の言葉であるが、「これをやらないとあとは頭を下げるばかりである」と言っていた。頭を下げない面会も必要なのである。つまり、何とか日常に潜り込むことを意味している。
一方で、「お願い」や「謝罪」で頭を下げるために訪問するのももちろん大切なことである。それはなぜなのか。いやな場面だからだ。そして、これは先方に対してではなく、社内の救済のためなのである。
4. 結語
社長は常に「外向きに」動くことと「内向きに」動く必要があり、その意味合いを考える必要がある。年末年始の挨拶こそ、社長以外で行くことが望ましい。新年の挨拶は、社長以外で背伸びをして対応すればいいのである。これまでと違うのは、社長はどれだけメッセージを発信しているかということである。
SNSはほぼ公式なビジネスツールとなっている。新年の挨拶よりもはるかに大切なものである。IT系のBigな社長は、かなりメッセージを発信している。ある意味、年末年始の挨拶よりもこちらの方が需要が高く、意味があると私は思う。 了