1. 「市場のすべての要求を満たそうとすると、全ての要求を満たせなくなる。お客様が望むのは、全ての品がそろっていることではなく、自分の買いたい品が豊富にそろっていることである」とは
想起できるビジネスワードは、セグメンテーション。ポジショニング。コンセプト。ランチェスター戦略。有限であることを自覚せよとの教え。なるほど、と思える。マーケティングにかかわる業務に携わると冒頭で起きる問題である。
マーケティングの根幹は、STPである。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングである。つまりは、誰に、を決めないといけない。そしてそれはある意味において絞らないといけない。しかし、マーケティングを知らない人は、「ターゲットを絞ることは損である。だって買ってくれそうな人が買わなくなってしまうではないか」と考える。日本語としては正しいが、いざ戦略としては話にならない。
2. ターゲットマーケティング戦略の必要性
ターゲットを絞らないということは、どんどん汎用的なものになっていく。当たり障りのない、個性のないものを作ってしまう。しかしそれが許されるのは、業界No1の取るべき戦略である。2位以下はNo1に対して対抗軸を出さないといけない。業界2位は一位の相似形ではいけないのだ。相似形は全てにおいて負けていることを意味する。全ての客をボーっと見ていたのでは、自分の取るべき道がわからない。
市場には必ず、顧客と競合がいる。No1でない限り、自分の独自性を打ち出し、自分の取りたい顧客に対してまっすぐに向き合わないといけないのである。すべての人に買ってもらえるような商品を用意した場合どうなるか。そのような、最大公約数は最大手が必ず取っている。小さい相似形になり製品差別差では戦えず、その先にあるのは、価格競争である。大手は量産体制が組める。量産体制を組めるものの方が価格競争で勝てるのは自明の理である。
3. マーケティング戦略の基本
戦略的にターゲットを絞ること。このことの意味合いが大切である。自社の都合で勝手なセグメンテーションを行ってはいけないのだ。自社のためではなく。呼びかけられた顧客が自分のことと認識できるためである。それは例えばショッピングモールでアナウンスが流れ、「お車のライトがついています。お車に戻りご確認ください。」というアナウンスで車主は戻れないのとおなじである。「栃木ナンバーの黒のクラウンのお客様」ここまで絞られて初めて自分のことと理解できるのである。二位以下は一位企業よりより研ぎ澄ましたメッセージを届けないといけないのだ。茫洋としたメッセージでは誰も振り向かないのである。かき分けて、声を張って、自分の求める顧客に必死に届けないといけないのである。ましてや、買うか買わないかわからない人を気にして、茫洋としたものにしてはいけないのだ。
4. 結語
ニッチ戦略、ランカスター戦略、弱者の取るべき戦略の基本である。広さを取るには資本がいる。深さは知恵でできる。アップルも実はかなり癖の強いニッチ戦略である。そもそもアップルは、パソコン市場は早々に放棄している。
アップルは、「それを持って使っている自分の姿がかっこよくなること」を価値軸としており、それを使っている自分が好きな人に買ってもらうものを作っているのである。
商品自体がパソコンであれ、携帯であれ構わないのである。
しかしその決めた分野では絶対に負けないように、金、情熱、知恵のすべてを打込んでいるのである。 了